第6回チーム医療推進学会開催にあたって
第6回チーム医療推進学会大会長 野口 百香
(公益社団法人 日本医療ソーシャルワーカー協会 会長)
チーム医療推進協議会は、会員の人格、倫理及び学術技能を研鑽し、わが国のチーム医療の普及向上を図ることで国民の医療・保健・福祉の増進に寄与することを目的に平成21年に設立されました。
近年の医療現場では、高齢多死社会の進行に伴い、認知症、独居、家族関係の希薄化等の困難を抱えながら医療・ケア方針の決断を迫られる方々が増えています。そこでは本人の意思は変化しうるものであることを前提に、心身の状態の変化等に応じてどのような生き方を望むのか、多専門職種からなる医療・ケアチームと十分な話し合いを重ね、本人の意思決定を基本として進めることが求められており、まさにチーム医療が機能することを求められる場面であると言えます。
平成19年に策定された「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン」は、平成30年に「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」に名称変更され、令和6年度診療報酬改定では入院基本料等の見直しにより、意思決定支援に関する指針を各医療機関が作成することが要件化され、臨床倫理委員会の設置や多職種で行う意思決定支援の標準化が求められることになりました。
このような社会的要請に鑑み、今回の学会テーマを『チーム医療で行う意思決定支援と連携』と致しました。基調講演は、臨床倫理の研究者でおられる会田薫子先生(東京大学大学院人文社会系研究科死生学・応用倫理センター上廣講座特任教授)にご依頼し、また記念講演を神野正博先生(全日本病院協会副会長で恵寿総合病院理事長)にご依頼致しました。神野先生は、令和6年1月に発生した能登半島地震で自院が被災され、大混乱の中で組織としての意思決定をどのように進めて来られたのか等のご経験をご講演頂く予定です。個別事例の意思決定支援から、組織としての意思決定まで、意思決定支援を多角的に捉え、多様な専門職が集う本協議会ならではの講演・シンポジウムを企画致しました。是非、多くの皆さまのご参加をお待ち致しております。
最後に本学会の開催にあたり、チーム医療協議会の上田克彦代表、関連団体はじめ多くの皆様にご支援とご協力を賜りましたことに心より感謝を申し上げます。